鍼は痛いという印象を取り除くことに力を注ぐのはやめることにしました。
鍼は怖くてもいい。
鍼は痛いものという印象があってもいい。変わらなくてもいい。
ちょっと極端かもしれないけど、そう思うようになりました。
「鍼が怖い」「鍼は痛い」「鍼は最終手段」というイメージを覆して
もっと身近なものになってほしいと、
「鍼は痛くないですよ。」
という言葉をよく使っていました。
実際、「すこしチクッとしたけどほとんど痛くなかった。」
「こんなもんなんだ~。」という感想が多いので
それをどうにか伝えたいと頑張っていた気がします。
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先日
整動鍼セミナーの応用編、五体躍動編に参加してきました。
「へえ~」と整動鍼を知ったばかりの頃のような声がでて、
鍼をうってもらったら「あれ?痛く無い」と鍼を初めてうけたような
反応をした自分に笑いました。
一つのツボへうつ鍼がどこへどんな影響を及ぼすのか。
整動鍼を学ぶようになって、常に大事に考えるようになりました。
身体に一本の鍼をうって、何の影響も無いわけがない
という講師の方の言葉をとても大切にしています。
今回の五体躍動編では
一つのツボが、どことどこと関連しているのか、
それがめぐりめぐってあの場所へ関連し、、
動きが明らかに変わることを体感してきました。
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今回のセミナーの内容は特に感動が大きく、
一つのツボに鍼をしたことでの影響・効果の大きさに驚き、
鍼が痛いとか、痛くないとか、
だから鍼はなかなか受けてもらえない(受診率は10%以下)とか、
そこに焦点を当てることはそれほど必要だったのか?
という思いが生じました。これがこの内容を書くきっかけです。
正直なところ、私自身鍼を受けるのは苦手です。
私と同じように鍼が苦手な鍼灸師も珍しくありません。
それでも、痛みにこだわってられなくなる衝撃でした。
鍼は痛いだろうけど来た
そんなことを言って治療院に来て下さる方は多いです。
痛いだろうけど、ちょっと怖いんだけど、、
たくさんある治療法の中から鍼灸を選んできてくれた。
その時点で痛いのは覚悟して、効果に期待をしてきてくれているのです。
それなのに、私のほうが過剰にその不安を取り除こうと空回りしていたのかもしれない、一人よがりの部分もあったかもしれないと気づきました。
自分に必要だと思ってもらえるような施術をする、
効果を感じてもらう鍼灸をする。
この気持ちも常に持ちつつ施術していますが、
これが通じれば鍼の痛みとかはハードルにすらならないなと。
これを伝えるようにしないと。
もちろん痛みや刺激量を最小限にする、という気持ちや配慮を常に持っているのは
前提です。
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最近、
スポーツ系のしっかりと鍼を指す鍼灸院と
経絡治療中心であまり刺さない鍼をする鍼灸院へ
かかった経験のある方がいらっしゃいました。
どんな鍼をするのか、鍼をされるまでわからなかったというので
その違いに驚かれたということ。
どんな考えで施術をし、
どんな症状の方を多くみているのか・得意としているのか
どのような効果が見込まれるのか
使い捨ての鍼を使っている=衛生的に安全
どんな鍼を使っているのか、
そういった内容を「情報」として伝えることは必要だと思います。
今では伝える手段があるわけですし。
その情報を参考に選んでいただいた時点で、
施術に向かっていける準備はできているのです。
もちろん過剰な恐怖心を取り除けたらそれに越したことはないですが、
怖いな、という気持ちがあっても来てくれていたのにそれ以上の
世話をやこうとしていました。
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開業当初は
「鍼・灸・マッサージ」の中で、ご希望もお聞きしながら
相談しながら施術内容を決めていきますよ~というスタイルでした。
希望を叶える=嫌なこと怖いこと無理なことしない=(私やさしい)
気持ちに寄り添うという言葉を使いながら、嫌われたくない気持ちをすり替えていただけかもしれません。
症状の解決を目指す治療院というのに、
このように施術法を患者さんに託している部分があったのはダメなことだったと思い、今ではもちろん変えています。
考えれば、患者さんにとっては改善にむかわない事の方が嫌なはず。鍼灸の恐怖心をどうこうするこというより、辛い症状の解決を求めて来てくださっている。
鍼は苦手だけれどその症状の改善のためによいのなら・・、
と鍼灸の可能性を信じて予約し来てくださった気持ちに応えるために
鍼灸という技術で症状を解決をしていけるよう努力を続けていこうと思います。
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今さら、という内容だなと自分でも感じます。
鍼灸師として仕事をするという時点で思い至るはずの内容と考え方です。
本当に自分でも考えが浅はかだったり、
色々な進み具合が遅かったり自分で自分が嫌になってしまうことも多く
このようなことを恥ずかしげもなく(ちょっと恥ずかしい)
書いているのはどうかと思う部分が多々あります。
・・不器用なりにめげずにこれからも進んでいきます。